2025年6月19日木曜日

JBDF全日本を審査して

JBDF全日本ダンス選手権大会を審査して


今年は10月に世界選手権の開催があるためなのでしょうが、一般のダンス愛好家の方々のご来場が非常に少なく、寂しい感じは拭えませんでした。が、藤本明彦新会長の元に新たな活気のある大会運営がなされていたように感じました。大会の雰囲気を盛り上げるちょっとした工夫が見受けられ、この秋の世界選手権ではこれらの新しい取り組みがさらに素晴らしい盛り上がりを生み出すものと期待しています。


さて、競技を審査した者としての感想ですが、まずはタブレットでの審査は従来のマークシートよりも審査への集中度を高めてくれるという点で非常によろしいと思います。音楽の演奏時間もこれまでより長くなり、カップルのダンスを吟味する時間も、カップル間の比較などの時間が長くなったことはフェアに審査するためにはとても大切なことで、大変にありがたいことです。


ボールルーム部門においてのダンスの話になりますが、最近のスポーツダンス傾向なのか、海外でのダンスキャンプでの傾向なのか、強さや速さ、大きさが求められるのは当然のことなのですが、それが表面の硬さとなり、自由度を失っている選手を数多く見受けました。

 

特にスウィングダンスと呼ばれるダンスにそのスウィングが無くなってしまっていることはどうしたことでしょう。私の目にはスローフォックストロットがプロ、アマともにもっとも問題の多いダンスに見えました。もっともこだわるべきフェザーという第1クイックから第2クイックへのボディーフライトもお粗末で、ワルツにしても持ち味の「本当のスウィング」が無くなっており、総じてダンスが重くなってしまった印象は否めませんでした。


流行は流行で大事な側面ですが、本来の人間の、地球上での普遍のものとの共存をベースにしたものでなければ、「不自然」という判断をせざるを得ないのです。行き過ぎればそれを見直し、足らなければそれを増やす。流行の最前線にいつつも、普遍のものへの追求を見失うことなく極め続けることがどの時代であっても大切なのではないでしょうか。


そんな中でも果敢にチャレンジを見せる若手のダンサーの存在があったことは嬉しいことで、この秋の大会での更なる成長ぶり、そして来年再来年と日本を牽引するほどにパワーアップした姿を見ることを楽しみにしたいと思います。


アマチュアチャンピオンの五月女光政・五月女睿佳組は海外でのチャレンジし続けてる実績そのままに素晴らしくも力強いダンスで圧勝。プロボールルームの福田裕一・Elizabeth組も予選段階から抜群の存在感で素晴らしいダンスを披露していました。ばてること無く最後まで立派に踊りきった素晴らしい優勝だったように思います。両チャンピオンに優勝おめでとう!の言葉を送りたいと思います。


ボールルーム担当審査委員長

田中英和

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JBDF全日本を審査して

JBDF全日本ダンス選手権大会を審査して 今年は10月に世界選手権の開催があるためなのでしょうが、一般のダンス愛好家の方々のご来場が非常に少なく、寂しい感じは拭えませんでした。が、藤本明彦新会長の元に新たな活気のある大会運営がなされていたように感じました。大会の雰囲気を盛り上げる...